アラシヤマダ

2002年11月2日
京都も3日目になると、すっかり地理が頭に入る。
これくらいの規模の街が、イチバン暮らしやすいんじゃないかと、
つくづく東京の拡大と開発がムダに思えてしまう。

昨夜も私がエキストラベッド。
テレビを見ていたら、すっかり眠ってしまっていた。

朝ごはんを食べに、外へ出る。
朝一番の駅前はまだ、お店が開いていなくて
ドトールに入った。

このドトールは2年前、
夜行列車で京都に着いたときにも朝ごはんを食べた場所。
なつかしいなぁ。

さて、電車で嵐山へと向かう。
電車のゆれが心地よくて、到着まで朝寝。
降りたホームの空気がピンと冷たくて、
京都駅よりも張り詰めていた。

自転車を借りて、ペダルを漕ぐ漕ぐ。
プラリといったお寺の紅葉の美しさに、
3人ともベンチでうっとり。

お寺の境内が開け放たれていて、
開かれた扉の向こう側に、扉の空間分だけ覗く紅葉が、
限定された空間美が、
とても日本らしくて、また3人で見とれていた。

そのまま急勾配の坂を登り、大河内山荘へと向かう。
男の子でも立ち漕ぎしなくちゃ登れない坂で、
私は一人「待ってー」と叫びながら、自転車を押す。
観光客のおばちゃん達が笑って
「頑張れ頑張れ!」と声をかけてくれる。

なんだか、昔よりも、
知らない人との交流を楽しんでしまえる自分がいて、
そんな空気がとっても心地よい。

山のてっぺんのほうには、無縁仏が収められている寺があって、
まるで黄泉の国のような光景に、
しばし言葉を奪われた。

やっぱり、この地域には
昔のものを誇りとし、守ろうという強い力がある。

東京にいると、時としてそんな思いは懐古趣味といわれるけれど、
ここではそれが、ノーマル。

私は、古い古いものがとても好き。
小学生のころまで住んでいた家は、1階建ての全くの日本家屋で、
鍵なんてついていないし、
大雨の日には、かならず家のどこかで雨漏りがした。

庭には、大きな八重桜と沈丁花。
冬は、山茶花が咲いていた。

物置には、姉が小さかったころの学習雑誌が積まれていて、
私はしょっちゅう埃にまみれながら、
窓から差し込む夕焼けの光で、それを読んでた。

いつか、あの家をもう一回建てるんだ。
それが私の夢。
青山の高層マンションも魅力的だけど、
やっぱり私の帰る場所は、古い日本の家なんだ。

京都は、昔の私の家に似ている。
だからこんなにも惹かれてしまうのかもね。


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