英語と戦争

2003年3月23日
風がふわりと柔らかい午後、TOEICを受けていた。

つるりとした表面の机の上で、
行儀良く並んだアルファベットを追いかける意識。
集中をさえぎったのは、シュプレヒコールだった。

せんそぉう、はんたぁぁぁい
せんそぉう、はんたぁぁぁい

今は2003年なのに、
国連が平和を守ってくれると信じていたのに、
どうして私が英語のテストを受けているこの午後、
日本の静かな住宅街でこんな声を聞くのだろう。

間延びしたシュプレヒコールは、教室全体を苛立たせた。

それでも、今戦争中なのだ、という気持ちが
ざらついた心の上にドロリと流れ込んできて
尖った部分を平らにしていった。

せんそぉう、はんたぁぁい

耳に突き刺さる声と、途切れた集中力

つまりは、と思考をTOIECから完全に切り離した私は考え始める。

今、あるものは誰かが創りだしたものに過ぎず、
創りだしたものは維持せねば、ならない

信じているだけでは、それは力にならない。

信じて、動く。
動いて、そこからまた、創る。

私達は毎日、レンガを積み上げる修理工のように、
創り続けなければいけない。
それを止めたとき、動き続ける人を非難しても、
その力はとても弱くて、きっと届かない。

ミスターブッシュ。

私の声は、彼に届かない。
それは私が、今止まっているから。

私は、私の視界を頼りに平和を創り続けたい。


コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

日記内を検索