distance

2004年2月1日 日常
まったく触れ合ってない心というのが、
なるほど、この世には存在するものだ。

TVのフットボール試合に釘付けの彼と、
他人の家なのに、自宅の一人部屋のようにソファに寄りかかる彼女。

会話はあるけれど、そこには下心のかけらも見つけられない。
彼女はフットボールについて2,3の質問をし、
彼はテキスト通りのパーフェクトな答えを返す。

彼女は、彼がパーフェクトな答えを出す事を知っている。
(彼女はフットボールに関して無知であるので、
彼の答えが即ち100%なのだ)
だから、聞いただけ。
それで彼女の小さな知的好奇心の泡はプチンとはじけ、
また穏やかで平らな水辺が戻ってくる。

これは幸せなのか、無なのか、
それとも、もの凄く何かを失っている段階なのか、
彼女はベッドの中で考える。

心臓の辺りに、真水がひたひたと溢れてくる。
しょっぱくも甘くもなく、からっぽですら無い。

隣で眠る彼の胸から同じように、色も味も無い真水が流れ出て、
少し窒息しそうな苦しさを感じて、
どこかで安心しながら彼女もようやく眠る。

明日の朝起きたら、
真水が砂糖水になっていてもいいのに、神様。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

日記内を検索