続 幸福な時間
2005年6月18日先週の結婚パーティから1週間がたち
私たちは再び全員で顔を合わせた
新婚のふたりが、パーティのお礼だと言って招待してくれた
乃木坂の評判の良いイタリア料理のレストラン
味も雰囲気も良く、わたしたちはまた幸せな気持ちになって
二人の結婚をあらためて祝い
最近付き合っていることをようやくカミングアウトした別の二人をからかい
とても楽しい時間をすごした
そのまま、懐かしい赤坂プリンスへ移動する
このホテルは、昨年の秋に同じメンバーで泊まった思い出の場所
部屋へ入って、去年と同じ部屋だったことに驚いた
実は、ここへ来る前に同期から台本を渡されていた
映画のワンシーンを数人のメンバーで再現し、他のメンバーを驚かそうというもの
台本を読んでいくと、最後のほうは「アドリブ」となっていて
詳細はまったく書かれていない
また何か企んでいるのかぁ、と笑いながら読んだ
部屋に入り、改めて乾杯をした後、
まずは一番目のサプライズ、
5月生まれの友人達のバースデーパーティを行う
ケーキを食べ、プレゼントを渡し、
男性陣は「さてそろそろ・・・」という顔で別室へ消えていく
私もさりげなくリビングを抜け出し、台本の読み込みをする
何気ない顔でリビングに戻り、あらかじめ用意された音楽をかけた
芝居の内容は、先週結婚した二人に嫉妬した友人が
興奮のあまり、新郎新婦を誘拐しようとする
そこへ刑事役が入ってきて、誘拐犯を撃ち殺してしまう
誘拐犯は最後の力を振り絞って、ダイイングメッセージを残す
刑事役が気づいて読み上げる
「めし、どこか、たのむ ・・・?」
台本はここまで。
誘拐犯役だった友人はすくっと立ち上がり、映像をONにした
少し前に流行した「電車男」のタイトルが現れたあと
にちゃんねる風の会話がスクリーンに流れ出す
それは懐かしい、誘拐犯役の友人が彼女に片思いをしていた頃の
わたしたちのメールのやりとりを編集したものだった
「クリスマス誘わないの?」から始まり、
食事に誘うタイミング、彼女が好きな食べ物の情報なんかを
仕事の後にメールでやり取りしていた頃のこと
もちろん、彼女は裏でわたしたちがこんな会話をしていたことは露知らず
びっくりした顔でスクリーンを眺めていた
そして、二人が付き合いだした後の写真が流れ、
「その後は・・・?」というメッセージで映像が終わった
彼は彼女を呼び寄せ、わたし達のほうをまっすぐ向いた
そして、「このたび婚約しました」と言った
アドリブとはこのことだったのだ
わたし達に結末を悟られないように、台本には載せられなかった言葉、事実
わたしたちは「えーー」と叫び、
口々に「おめでとう!」と言い、
「もっとちゃんと話して!」と彼らを前に座らせ、
記者会見さながらの質問を矢継ぎ早にあびせた
あぁ、びっくりする程はやく夜は更け、
彼らは翌日の両親への挨拶に向け、タクシーで彼の家へ帰った
残されたわたしたちは改めて、二人の発表におどろき、喜び、
窓の外が明るくなる頃まで眠れなかった
一夜明けてまた、今頃新幹線に乗って彼の実家へ向かっているだろう二人を思い、
けんかしていないか、これから遠距離恋愛となるが大丈夫だろうか、などと勝手に言い合った
まったく、どうしてこの仲間達は幸せを上手に表現するのだろう
好きなものを好きと堂々と言える彼らを
わたしはとても誇らしく思う
人生は幸せなことばかりではないし、
華やかなことばかりでもない
でもスポットライトがあたった瞬間をどれだけ楽しめるか
味わえるか、そして分かち合えるか
そしてライトの当たらない時間をどれだけ一生懸命すごすか
こうやって、たくさんの幸せをわかちあいながら
ゆっくりと年を取っていけたら、どんなに幸福だろう
またしても、幸福な時間をくれた二人、ありがとう
私たちは再び全員で顔を合わせた
新婚のふたりが、パーティのお礼だと言って招待してくれた
乃木坂の評判の良いイタリア料理のレストラン
味も雰囲気も良く、わたしたちはまた幸せな気持ちになって
二人の結婚をあらためて祝い
最近付き合っていることをようやくカミングアウトした別の二人をからかい
とても楽しい時間をすごした
そのまま、懐かしい赤坂プリンスへ移動する
このホテルは、昨年の秋に同じメンバーで泊まった思い出の場所
部屋へ入って、去年と同じ部屋だったことに驚いた
実は、ここへ来る前に同期から台本を渡されていた
映画のワンシーンを数人のメンバーで再現し、他のメンバーを驚かそうというもの
台本を読んでいくと、最後のほうは「アドリブ」となっていて
詳細はまったく書かれていない
また何か企んでいるのかぁ、と笑いながら読んだ
部屋に入り、改めて乾杯をした後、
まずは一番目のサプライズ、
5月生まれの友人達のバースデーパーティを行う
ケーキを食べ、プレゼントを渡し、
男性陣は「さてそろそろ・・・」という顔で別室へ消えていく
私もさりげなくリビングを抜け出し、台本の読み込みをする
何気ない顔でリビングに戻り、あらかじめ用意された音楽をかけた
芝居の内容は、先週結婚した二人に嫉妬した友人が
興奮のあまり、新郎新婦を誘拐しようとする
そこへ刑事役が入ってきて、誘拐犯を撃ち殺してしまう
誘拐犯は最後の力を振り絞って、ダイイングメッセージを残す
刑事役が気づいて読み上げる
「めし、どこか、たのむ ・・・?」
台本はここまで。
誘拐犯役だった友人はすくっと立ち上がり、映像をONにした
少し前に流行した「電車男」のタイトルが現れたあと
にちゃんねる風の会話がスクリーンに流れ出す
それは懐かしい、誘拐犯役の友人が彼女に片思いをしていた頃の
わたしたちのメールのやりとりを編集したものだった
「クリスマス誘わないの?」から始まり、
食事に誘うタイミング、彼女が好きな食べ物の情報なんかを
仕事の後にメールでやり取りしていた頃のこと
もちろん、彼女は裏でわたしたちがこんな会話をしていたことは露知らず
びっくりした顔でスクリーンを眺めていた
そして、二人が付き合いだした後の写真が流れ、
「その後は・・・?」というメッセージで映像が終わった
彼は彼女を呼び寄せ、わたし達のほうをまっすぐ向いた
そして、「このたび婚約しました」と言った
アドリブとはこのことだったのだ
わたし達に結末を悟られないように、台本には載せられなかった言葉、事実
わたしたちは「えーー」と叫び、
口々に「おめでとう!」と言い、
「もっとちゃんと話して!」と彼らを前に座らせ、
記者会見さながらの質問を矢継ぎ早にあびせた
あぁ、びっくりする程はやく夜は更け、
彼らは翌日の両親への挨拶に向け、タクシーで彼の家へ帰った
残されたわたしたちは改めて、二人の発表におどろき、喜び、
窓の外が明るくなる頃まで眠れなかった
一夜明けてまた、今頃新幹線に乗って彼の実家へ向かっているだろう二人を思い、
けんかしていないか、これから遠距離恋愛となるが大丈夫だろうか、などと勝手に言い合った
まったく、どうしてこの仲間達は幸せを上手に表現するのだろう
好きなものを好きと堂々と言える彼らを
わたしはとても誇らしく思う
人生は幸せなことばかりではないし、
華やかなことばかりでもない
でもスポットライトがあたった瞬間をどれだけ楽しめるか
味わえるか、そして分かち合えるか
そしてライトの当たらない時間をどれだけ一生懸命すごすか
こうやって、たくさんの幸せをわかちあいながら
ゆっくりと年を取っていけたら、どんなに幸福だろう
またしても、幸福な時間をくれた二人、ありがとう
幸福な時間
2005年6月11日大好きな友人の結婚披露パーティを開いた
急遽、名古屋への転勤が決まり、
2年間付き合ってきた彼女とついに結婚した
ちょうど彼女のお腹には3ヶ月の赤ちゃんがいて、
とてもとてもタイミングの良い出来事、とみんなで喜んだ
パーティの前日に、新郎から幹事達へメールが届いた
「これから、彼女は出産、引越しと精神的にも肉体的にも大変な時期を迎えます。
そんな彼女の為に、このパーティを盛り上げて貰えたら、本当に嬉しい。
どうか宜しく御願いします」
会社なのに、私は少し泣いてしまった
二人はいつもお互いを思いやっていて、
こんなに愛に満ちたカップルはそうそういない、と改めて思った
そして、当日
彼らを祝うために集まってくれた、
歌う人、奏でる人、踊る人、そしてお客様
皆の愛情がたっぷりと詰まった、とても素晴らしい会だった
帰り際、友人達が司会者席までやってきて、声をかけてくれる
「こんなにあたたかいパーティは初めて、素晴らしかったね」
口々に言ってくれたその言葉で、お手伝いをしていた私達は
とても幸せな気持ちになった
周りの人たちにここまで愛されて、新郎新婦はとても幸福そう
幸福な人は、その存在だけでまわりを幸せに出来る
少なくとも、不幸な人を見て幸せを感じる人はいないのだから
幸福な3時間、
私はひっそりとこの時間が永遠に続けばいいのに、と願っていた
終ってしまうのが、惜しい、美味しい時間
素晴らしい会を開いてくれた新郎新婦、ありがとう
急遽、名古屋への転勤が決まり、
2年間付き合ってきた彼女とついに結婚した
ちょうど彼女のお腹には3ヶ月の赤ちゃんがいて、
とてもとてもタイミングの良い出来事、とみんなで喜んだ
パーティの前日に、新郎から幹事達へメールが届いた
「これから、彼女は出産、引越しと精神的にも肉体的にも大変な時期を迎えます。
そんな彼女の為に、このパーティを盛り上げて貰えたら、本当に嬉しい。
どうか宜しく御願いします」
会社なのに、私は少し泣いてしまった
二人はいつもお互いを思いやっていて、
こんなに愛に満ちたカップルはそうそういない、と改めて思った
そして、当日
彼らを祝うために集まってくれた、
歌う人、奏でる人、踊る人、そしてお客様
皆の愛情がたっぷりと詰まった、とても素晴らしい会だった
帰り際、友人達が司会者席までやってきて、声をかけてくれる
「こんなにあたたかいパーティは初めて、素晴らしかったね」
口々に言ってくれたその言葉で、お手伝いをしていた私達は
とても幸せな気持ちになった
周りの人たちにここまで愛されて、新郎新婦はとても幸福そう
幸福な人は、その存在だけでまわりを幸せに出来る
少なくとも、不幸な人を見て幸せを感じる人はいないのだから
幸福な3時間、
私はひっそりとこの時間が永遠に続けばいいのに、と願っていた
終ってしまうのが、惜しい、美味しい時間
素晴らしい会を開いてくれた新郎新婦、ありがとう
姉の誕生日
2005年5月22日姉の誕生日は、とても良い時期にある、と毎年思う
すずらんの香る季節
明るい太陽とカラリとした風のふく季節
遠くに住む彼女の好きなものを、ごちゃごちゃと
宝箱のように詰めて贈ってあげようと、街へ出た
紅鮭をほぐして瓶に詰めたもの
アルコールの匂いが私にはきつ過ぎる、練雲丹
彼女の干支である兎を模った和紙の便箋と紫色の小箱
紫色の小箱は、マルディグラカラーを意識して選んだことに
彼女は気付いてくれるだろうか
贈り物を選んでいる時間はとても楽しい
自分のものを選んでいるときは、その所有した後の世話を思って
少し心が重くなるのだけれど
贈り物は、あとくされが無くてとても気が楽だ
姉が喜んでくれますようにと、郵便局で彼らを送り出す
はやくとどいて、バースディプレゼント
すずらんの香る季節
明るい太陽とカラリとした風のふく季節
遠くに住む彼女の好きなものを、ごちゃごちゃと
宝箱のように詰めて贈ってあげようと、街へ出た
紅鮭をほぐして瓶に詰めたもの
アルコールの匂いが私にはきつ過ぎる、練雲丹
彼女の干支である兎を模った和紙の便箋と紫色の小箱
紫色の小箱は、マルディグラカラーを意識して選んだことに
彼女は気付いてくれるだろうか
贈り物を選んでいる時間はとても楽しい
自分のものを選んでいるときは、その所有した後の世話を思って
少し心が重くなるのだけれど
贈り物は、あとくされが無くてとても気が楽だ
姉が喜んでくれますようにと、郵便局で彼らを送り出す
はやくとどいて、バースディプレゼント
考えるべきこと 考えなくてもいいと思えること
2005年5月21日一緒にいたいと思える人が付き合おうと言うので
それは名案のように思えた
だが、私も彼もかわいらしくない性格だったと後から気づいた
前に一緒にいた人は、当たり前のように
会いたいと言えば理由も聞かずに会ってくれたし
彼も会いたい時に、理由なんてつけずに会いにきた
目的も聞かなかった
好きという気持ちと、付き合うというのは必ずしもイコールではない
中学生の時に出した答えに、いまさらぶち当たるなんて
私は毎日人が眠っている時間に電話をくれる今の彼を、好きとは思うが
付き合うべきではなかったのかもしれない、と思い始めている
彼と私は生活のリズムが180度ひっくり返っているので
めったに顔を合わせない
週末位、会えるんじゃないかと期待してもみたが
金曜の夜から土曜の朝まで外で遊んでいる彼は
土曜はたっぷりたっぷり眠るのが当たり前らしい
少し、会いましょうよ、と電話してみたが
会って何をするの?と聞かれて困ってしまった
私も彼も遊園地や買い物に行くタイプではない
私は私の好きな展示会や音楽会に誘ってみたりもするが
彼にとっては古臭すぎる趣味のようで、てんで相手にしてもらえない
彼は友人の家にいく時や、異業種交流会へいく時などに
一緒に行くか?と声をかけてくれるけれど
友人の家には平日だっていけるのだし
私は異業種交流会とやらが苦手で嫌いなので、どちらも辞退する
友人の家は、甘い罠で、
その家にいて何かをしゃべっていると、さも人生の重要なことを考えているように感じてしまう
確かにそういう時間は宝物だが、毎週必要かと言われるとそうでもない
大体、どうして恋人が会いたいと言うときに
理由や目的や、下手したら達成すべき目標なんかを
いちいち並べなくてはいけないのだろう
そういうものをすべて排除して、
理詰めの彼からみたら理不尽とも思える動物的な本能で
ただ、会いたいだけなのに
考えるべきこと、そして考えなくてもいいと思えること
どうしてうまく合致しないのだろう
それは名案のように思えた
だが、私も彼もかわいらしくない性格だったと後から気づいた
前に一緒にいた人は、当たり前のように
会いたいと言えば理由も聞かずに会ってくれたし
彼も会いたい時に、理由なんてつけずに会いにきた
目的も聞かなかった
好きという気持ちと、付き合うというのは必ずしもイコールではない
中学生の時に出した答えに、いまさらぶち当たるなんて
私は毎日人が眠っている時間に電話をくれる今の彼を、好きとは思うが
付き合うべきではなかったのかもしれない、と思い始めている
彼と私は生活のリズムが180度ひっくり返っているので
めったに顔を合わせない
週末位、会えるんじゃないかと期待してもみたが
金曜の夜から土曜の朝まで外で遊んでいる彼は
土曜はたっぷりたっぷり眠るのが当たり前らしい
少し、会いましょうよ、と電話してみたが
会って何をするの?と聞かれて困ってしまった
私も彼も遊園地や買い物に行くタイプではない
私は私の好きな展示会や音楽会に誘ってみたりもするが
彼にとっては古臭すぎる趣味のようで、てんで相手にしてもらえない
彼は友人の家にいく時や、異業種交流会へいく時などに
一緒に行くか?と声をかけてくれるけれど
友人の家には平日だっていけるのだし
私は異業種交流会とやらが苦手で嫌いなので、どちらも辞退する
友人の家は、甘い罠で、
その家にいて何かをしゃべっていると、さも人生の重要なことを考えているように感じてしまう
確かにそういう時間は宝物だが、毎週必要かと言われるとそうでもない
大体、どうして恋人が会いたいと言うときに
理由や目的や、下手したら達成すべき目標なんかを
いちいち並べなくてはいけないのだろう
そういうものをすべて排除して、
理詰めの彼からみたら理不尽とも思える動物的な本能で
ただ、会いたいだけなのに
考えるべきこと、そして考えなくてもいいと思えること
どうしてうまく合致しないのだろう
ミシシッピ
2005年5月4日この川には鰐がいるという
町の真ん中を流れるミシシッピには
そんなミステリアスな雰囲気はまったくないけれど
少し郊外にいくと、川はとんでもない存在感を現し始める
乾いた空気とまっすぐ進む道路
その両側には茶色く濁って微動だにせぬミシシッピ川
とんでもない場所だなと改めて思う
もし私がアメリカに住むことになったら
私は大地の広さと空から降りてくる凶暴な風に
きっと白旗あげて、ぽかんと立ち尽くす
だけれど私はこの町にツーリストとしてきていて
今はただ、のんびりと外輪船ナッチェス号から
ミシシッピ川をたゆたう枯れ枝なんかと悠々と眺めている
ジャズミュージアムへ行った帰りのフレンチマーケットで
母親はマルディグラカラーのおもちゃのネックレスを買った
お守りよ、と笑いながらみんなで馬鹿みたいにピカピカしたネックレスをかける
時々、びっくりするほどセンスの鋭いセレクトショップがあり
女3人できゃぁきゃぁ騒ぎながら、ドレスを物色する
なつかしい、姉がまだ大学生で私もまだ高校生で
親に庇護されるのが当たり前と思っていたあのころの旅行のよう
なつかしいなつかしい、そればかりを感じたミシシッピ旅行
町の真ん中を流れるミシシッピには
そんなミステリアスな雰囲気はまったくないけれど
少し郊外にいくと、川はとんでもない存在感を現し始める
乾いた空気とまっすぐ進む道路
その両側には茶色く濁って微動だにせぬミシシッピ川
とんでもない場所だなと改めて思う
もし私がアメリカに住むことになったら
私は大地の広さと空から降りてくる凶暴な風に
きっと白旗あげて、ぽかんと立ち尽くす
だけれど私はこの町にツーリストとしてきていて
今はただ、のんびりと外輪船ナッチェス号から
ミシシッピ川をたゆたう枯れ枝なんかと悠々と眺めている
ジャズミュージアムへ行った帰りのフレンチマーケットで
母親はマルディグラカラーのおもちゃのネックレスを買った
お守りよ、と笑いながらみんなで馬鹿みたいにピカピカしたネックレスをかける
時々、びっくりするほどセンスの鋭いセレクトショップがあり
女3人できゃぁきゃぁ騒ぎながら、ドレスを物色する
なつかしい、姉がまだ大学生で私もまだ高校生で
親に庇護されるのが当たり前と思っていたあのころの旅行のよう
なつかしいなつかしい、そればかりを感じたミシシッピ旅行
おはよう鳥
2005年5月3日今朝、窓の外にはおはよう鳥がいた
昨日まで泊まっていたサンフランシスコのホテルは
とても大きな街の渦の中だったけれど
公園まで行くとおはよう鳥が鳴いていた
それでもわりと幸せを感じたけれど
今朝、姉の旦那さんが出勤する時
ドアをあけたその瞬間に鳥たちが一斉にないていたので
私はとても明るい気持ちになった
ニューオリンズから少し離れた小さな町で
焼鮭とたまご焼きの朝食をとり
今日も一日暑くなりそうだと話し合う
小さな幸せを積み重ねて
私たちは生きているのだと感じる
でも、確実に幸せを感じるたびに
本当にこの幸せを守ることが 最高で唯一のものなのかしら と不安に思う
小さい頃からの かわらない私が
じっとこちらを見て、問いかける
おはよう鳥の鳴き声は
私を少し幸せにし、同時に少し不安にさせる
昨日まで泊まっていたサンフランシスコのホテルは
とても大きな街の渦の中だったけれど
公園まで行くとおはよう鳥が鳴いていた
それでもわりと幸せを感じたけれど
今朝、姉の旦那さんが出勤する時
ドアをあけたその瞬間に鳥たちが一斉にないていたので
私はとても明るい気持ちになった
ニューオリンズから少し離れた小さな町で
焼鮭とたまご焼きの朝食をとり
今日も一日暑くなりそうだと話し合う
小さな幸せを積み重ねて
私たちは生きているのだと感じる
でも、確実に幸せを感じるたびに
本当にこの幸せを守ることが 最高で唯一のものなのかしら と不安に思う
小さい頃からの かわらない私が
じっとこちらを見て、問いかける
おはよう鳥の鳴き声は
私を少し幸せにし、同時に少し不安にさせる
記録
2005年5月1日これは純粋に自分のための旅の記録だ
朝、時差にも慣れたのか7時過ぎにおきた
今日はシンコデマヨの祭りがあったはず、と思い
ラウンジのインターネットで確認したところ、サンフランシスコは5日らしい
残念
寝坊したな、と思いながらシャワーを浴び、チェックアウトの準備に取り掛かる
先日購入したバレエシューズで出来た靴ずれが痛んだので
ウォルグリーンマートへバンドエイドを買いに行く
ウォルグリーンは朝6時から開いていて、本当に便利。
私はマーケットストリートまで出ていたが、実はパウエルストリートにも小さいがあることを後で発見することになる
支度を終え、9時過ぎにチェックアウトへ
「すべて満足でしたか?」といわれたので「すべてよかったです」と答える
空腹をこらえ、フィッシャーマンズワーフへ
もともとあまり蟹は好きではないのだが
サンフランシスコで蟹を食さないのもいかがなものか、と自分をけしかけ、屋台でカクテルを買う
ウミネコにクラッカーをわけてやり、一緒に食べる
キャナリーが近かったので、立ち寄る
地方の観光地にありがちな、キャッチーな店がちらほらと入ったショッピングビルだ。
哀愁が漂い、少し悲しくなる
今日はやらねばならないことがある、と奮起し
チャイナタウンへ向かう
ケーブルカーで、10分位
陶器ばかりを置いているごみごみした店で
小さな馬の置物を買う
緑と白と青
これで私の部屋の動物園もまたにぎやかになる
牛、ねずみ、ぞう、フラミンゴ、しまうま、そして今回の馬
おなかが減ったので、とてもおいしいと評判の麺屋へ向かった
ホリディインの近く
残念ながら日曜日はお休みだった!
仕方が無いので、中心部へ戻る
途中、土産屋でチャイナドレスの金色が美しかったので
しばし買い物に興じる
友人から電話が入り、車を購入する予定だと相談される
BMWと日産で迷っているようだが、ローンがおりなければ日産にすると言っていた
車は大きな買い物だから、どちらにしても自分が愛着を感じられるものを選べるといいね、と言って電話を切る
この旅行中、毎日のように電話をくれるかの友人はとてもかわいらしい人だ
おそらく、周りの友人は「かわいらしい」という言葉は不釣合いだと笑うだろうが
私は、自分よりも大人じみた年下のこの友人を「かわいい」と思う
その後、ランチへ、適当に店に入る
麺を頼んだところ、十数年ぶりに香港の味がした
ほそいほそい、コシのある麺で、私はひっそりとよろこぶ
まさかこんなところで出会えるとは、とかみ締める
レストランを出て、町を歩く
ミーミーベーカリーを探すが、みつからない
途中、DIMSUMをひとつ食べる
角煮の入ったパオズで、50セント
この街では小さな店では英語はほとんど通じない
彼らはどのように暮らしているのだろうか
チャイナタウンを抜けると、イタリア人街に入る
ワシントン公園でうたたねをしてしまう
気づいたら1時間くらい経過していて、MOMA SFはあきらめることにした
道に迷いながらもチャイナタウンへ戻り、バスを待つ
なかなか来ない
ようやく来たバスに乗り込むと、ほとんどが中国人だった
後ろの若い男の子達は英語で何かを話している
前に座った中年の女性は、おそらくアメリカ人と中国人の混血のようだったが、
中国語で話し込んでいる
つくづく不思議な街だと感じながら、ユニオンスクエアへ戻る
レストルームを借りるついでに、MACY’Sの靴売り場へ行く
どうやらセールを行ったらしく、フロア中に靴が散在している
まるで地震の後みたいだ
気に入った靴のサイズが見つからず、後にする
外に出て、ディスカウントの靴屋へ行き
前々から目をつけていたパイソンのサンダルを購入してホテルへ
荷物を受け取りBARTで空港へ行く
NWはセルフチェックインがほとんどなので、カウンターで一生懸命機械と格闘する
無事チェックインも終わり、ゲートへ
ひさしぶりに大きな大きなサラダを食べ、バナナマフィンを食べ、コーヒーを飲み、満足して眠る
0時40分のフライト
みな、少し疲れた顔で乗り込んでミネアポリスへと向かう
私らしい一日だったと満足して眠る
朝、時差にも慣れたのか7時過ぎにおきた
今日はシンコデマヨの祭りがあったはず、と思い
ラウンジのインターネットで確認したところ、サンフランシスコは5日らしい
残念
寝坊したな、と思いながらシャワーを浴び、チェックアウトの準備に取り掛かる
先日購入したバレエシューズで出来た靴ずれが痛んだので
ウォルグリーンマートへバンドエイドを買いに行く
ウォルグリーンは朝6時から開いていて、本当に便利。
私はマーケットストリートまで出ていたが、実はパウエルストリートにも小さいがあることを後で発見することになる
支度を終え、9時過ぎにチェックアウトへ
「すべて満足でしたか?」といわれたので「すべてよかったです」と答える
空腹をこらえ、フィッシャーマンズワーフへ
もともとあまり蟹は好きではないのだが
サンフランシスコで蟹を食さないのもいかがなものか、と自分をけしかけ、屋台でカクテルを買う
ウミネコにクラッカーをわけてやり、一緒に食べる
キャナリーが近かったので、立ち寄る
地方の観光地にありがちな、キャッチーな店がちらほらと入ったショッピングビルだ。
哀愁が漂い、少し悲しくなる
今日はやらねばならないことがある、と奮起し
チャイナタウンへ向かう
ケーブルカーで、10分位
陶器ばかりを置いているごみごみした店で
小さな馬の置物を買う
緑と白と青
これで私の部屋の動物園もまたにぎやかになる
牛、ねずみ、ぞう、フラミンゴ、しまうま、そして今回の馬
おなかが減ったので、とてもおいしいと評判の麺屋へ向かった
ホリディインの近く
残念ながら日曜日はお休みだった!
仕方が無いので、中心部へ戻る
途中、土産屋でチャイナドレスの金色が美しかったので
しばし買い物に興じる
友人から電話が入り、車を購入する予定だと相談される
BMWと日産で迷っているようだが、ローンがおりなければ日産にすると言っていた
車は大きな買い物だから、どちらにしても自分が愛着を感じられるものを選べるといいね、と言って電話を切る
この旅行中、毎日のように電話をくれるかの友人はとてもかわいらしい人だ
おそらく、周りの友人は「かわいらしい」という言葉は不釣合いだと笑うだろうが
私は、自分よりも大人じみた年下のこの友人を「かわいい」と思う
その後、ランチへ、適当に店に入る
麺を頼んだところ、十数年ぶりに香港の味がした
ほそいほそい、コシのある麺で、私はひっそりとよろこぶ
まさかこんなところで出会えるとは、とかみ締める
レストランを出て、町を歩く
ミーミーベーカリーを探すが、みつからない
途中、DIMSUMをひとつ食べる
角煮の入ったパオズで、50セント
この街では小さな店では英語はほとんど通じない
彼らはどのように暮らしているのだろうか
チャイナタウンを抜けると、イタリア人街に入る
ワシントン公園でうたたねをしてしまう
気づいたら1時間くらい経過していて、MOMA SFはあきらめることにした
道に迷いながらもチャイナタウンへ戻り、バスを待つ
なかなか来ない
ようやく来たバスに乗り込むと、ほとんどが中国人だった
後ろの若い男の子達は英語で何かを話している
前に座った中年の女性は、おそらくアメリカ人と中国人の混血のようだったが、
中国語で話し込んでいる
つくづく不思議な街だと感じながら、ユニオンスクエアへ戻る
レストルームを借りるついでに、MACY’Sの靴売り場へ行く
どうやらセールを行ったらしく、フロア中に靴が散在している
まるで地震の後みたいだ
気に入った靴のサイズが見つからず、後にする
外に出て、ディスカウントの靴屋へ行き
前々から目をつけていたパイソンのサンダルを購入してホテルへ
荷物を受け取りBARTで空港へ行く
NWはセルフチェックインがほとんどなので、カウンターで一生懸命機械と格闘する
無事チェックインも終わり、ゲートへ
ひさしぶりに大きな大きなサラダを食べ、バナナマフィンを食べ、コーヒーを飲み、満足して眠る
0時40分のフライト
みな、少し疲れた顔で乗り込んでミネアポリスへと向かう
私らしい一日だったと満足して眠る
朝ごはんをたっぷりと
2005年4月30日今朝、4時過ぎに電話の音で目がさめた
小さなホテル 高い天井
電気をつけたまま寝てしまった事を思い出し、電話をとる
日本から、母親の声がすこし割れてとどく
「いまそちらは何時?」とはしゃいだ声で尋ねる
「朝の4時、でもちっとも眠くない」と私は答える
事実、時差ぼけは見事な効き目で
午前4時の私をとても快活な状態に導いている
電話を切り、支度を整えてホテルを出る
まだ太陽は昇りきっていない
ケーブルカーでアップダウンの激しいパウエル通りをいく
9ドルの1日券を購入して、20ドル紙幣を渡したら
お釣が無いから、ちょっと待っていてねといわれる
車掌は一生懸命乗客から一ドル札を集めるけれど
なかなか11ドルに達しない
運転手に「5ドル貸して!」と叫ぶ
途中で運転手が車掌と交代して、私の前に立つ
ニコニコと笑ったおじいちゃんのような運転手が
「5ドルだけ?」と私に手渡す
もう一度いたずらをする子供のような顔で
「本当にこれで充分?」と尋ねる
私は、母親になったような気持ちで、笑いながら「充分よ!」と答える
向かいに座った中国人のおじいちゃんが
「だめだよ、ぜんぜん足りないって言ってやるんだ!」と
やっぱり子供のような笑い顔でちゃちゃを入れてくる
「次はそう言うわ!」と私も笑う
おじいちゃんはチャイナタウンで降りていった
ジャクソン通りから、海を眺めたらちょうど朝陽が昇るところで
金色に輝く海が、まるで砂漠のようだった
大きく息を吸い込む、そしてロンバートストリートへたどり着く
世界一曲がりくねった道、を一気に走り降りた
車が通れば、ドライビングテクニックを観て楽しもうと思っていたが
早朝、わざわざこの通りを通る車はなく、
私は堂々と車道を走り降りた
そのままイタリア人街へと向かう
mama’sという名の朝食屋へ
8時からのオープン前に既に店の前には列が出来ていた
少し待って、ようやく店が開く
パンケーキか、卵料理か、フレンチトーストか
メニューを眺め、後ろで食べる人を眺め、オープンキッチンで
じゅうじゅうと焼かれるジャガイモやベーコンを凝視する
パンケーキとソーセージとコーヒー
焼きたてのパンケーキがたっぷりのメープルシロップと共に置かれる
おいしい
熱くて火傷したけれど、とっても美味しい
コーヒーを沢山飲み、ソーセージを箸休み代わりにつまみながら
一人でたいらげた朝ごはん
満足な気持ちをかかえ、フィッシャーマンズワーフへ向かう
直通のバスがない為、ファーマーズマーケットで乗り換える
ファーマーズマーケットでは、「地元の農家から買ってくれてありがとう!」
という看板が立てられている
朝からみんな一生懸命、にんじんやらハムやらチーズやらを買い求めている
私はカリフォルニア郊外で作られているオリーブオイルを2本と
クッキーの型を沢山買った
そのあと、ミュニメトロでフィッシャーマンズワーフへ
隣の中国人の男の子が話し掛けてくる
「日本人?」
「そうよ、あなたは・・・?」
「中国人、そこのバークレーで大学に行っている」
「羨ましい!若いのね、私は日本で働いています」
そのまま少し話して、フィッシャーマンズワーフで降りる
こういうところのお土産屋さんはどうしてこんなにげんなりするんだろうと
すこし面白い気分で店を通り過ぎる
ふと、シーライオンの看板が多い事に気づき、
ああ、野生のアシカが見られるのはここだったか、と思い出す
遠くにアシカの鳴き声が聞こえる
急ぐ、逃げはしないけれど、急ぐ
たくさんたくさん、居た
私はこんなに怠惰なアシカを、こんなに沢山見たのは初めてだったので
どうしていいのかわからず、とにかく見た
何かすごいことが起きるかもしれないと思って
何もおきないまま、時間が流れた
相変わらずアシカは、勝手気ままに寝たり、じゃれたり、けんかしたり
人間だけが、必死に彼らを観続けていた
さて、行こうと思い、自転車をかりにいく
自転車でゴールデンブリッジを渡ろうと思ったのだ
自転車を借りて、ずっとずっと走っていく
ゴールデンゲートブリッジはずっと見えているのに
なかなかたどり着かず、もしかして道を間違えているのかと
何度も疑いながら、まっすぐの道を行く
最初にたどり着いたのは、ゴールデンゲートブリッジのふもと
驚いたことに、橋の下にはサーファー達が波を待って
ぷかぷかと浮いていた
私も興奮して、彼らと一緒に波を待つ
大きな波はないけれど、橋の下でサーフィンをするその組み合わせは
なんとなく私にベルリンを思い出させた
大きな人工物と、小さな自然を楽しむユーモアは
なんとなくドイツを思い出させるのだ
ベルリン!私がもっとも懐かしさを感じる街。
昨年の同じ時期は、ベルリンの緑の下でぐうぐうと寝ていたのだ
とても晴れていて、私はたくさんの買い物とたくさんの午睡と
たった一人の日本人との出会いとを楽しんだ
さて、ここはアメリカで私はゴールデンゲートブリッジを目指す
小さな日本人として、再び自転車に乗る
びっくりするほど普通の山道を登らなければならず
皆背筋を反り返らせて立ち漕ぎをしている姿がおかしかった
山を登り、少し進むと橋につく
ようやく着いたという感動はあまりない
ただひたすらにこの橋を渡ろうと思う
何度か止まって写真を撮ったりもしたけれど
とにかくこの橋の上はとんでもない風の強さだった
ごうごうと吹く風に横つらをはたかれながら
一生懸命反対岸へと向かう
着いたらついたで、またもや延々と道をゆく
小さなヨットハーバーのような町があり、そこを目指した
着いたその町は、まるで軽井沢のように店が並び
驚くほどたくさんの人がいた
私も自転車を止め、道なりに歩く
途中でサーモンのサンドウィッチを食べたが、朝のやけどに
サーモンの塩がしみて、半分残してしまう
途中、気温も下がってきて、私はちょっと元気をなくす
この街はすこし田舎じみていて、それで私は
大好きな会社の同僚を思い出してしまった
海が好きで、のんびりと息を抜くペースが似ている人
彼とは、昨年の夏の休暇で、偶然同じ飛行機に乗った
成田からチューリッヒまで、
チューリッヒから私はバルセロナへ彼はザグレブへ
クロアチアへいくんだといわれたときには、
この人はちょっと癖のある人なのだろうかと感じたけれど
聞いてみるとクロアチアはとても綺麗な海があるとわかった
そんな国へ一人で行こうとしている彼が、
なんとなく自分と似ている気がして私はとてもうれしかった
以来、なぜか彼にだけは、
私は素直に自分の好きな物事を話すことが出来る
彼は否定することを口にしない
その前に面白がるのだ
その外部に対する素直さが、また私をリラックスさせるのだろう
彼はそうやって同期を和ませていることなど、まったく気づいていないだろうけれど
一通り町で遊んで、帰りはフェリーに乗る
自転車屋に戻って荷物を引き取り、ケーブルに揺られてユニオンスクエアへ戻る
ホテルへ戻ると、疲れていたのかベッドで眠ってしまった
津波の夢を見て起きる
寝ていたのは30分程度だった
身支度を整えて、街へ散歩に行く
ぶらぶらと洋服屋や靴屋を眺め、ヴァージンメガストアでCDを物色した
部屋に帰り、買ったCDを早速聞きながら本を読んだり、日記を書いた
明日はサンフランシスコを発つ日だ
すこしさみしい
小さなホテル 高い天井
電気をつけたまま寝てしまった事を思い出し、電話をとる
日本から、母親の声がすこし割れてとどく
「いまそちらは何時?」とはしゃいだ声で尋ねる
「朝の4時、でもちっとも眠くない」と私は答える
事実、時差ぼけは見事な効き目で
午前4時の私をとても快活な状態に導いている
電話を切り、支度を整えてホテルを出る
まだ太陽は昇りきっていない
ケーブルカーでアップダウンの激しいパウエル通りをいく
9ドルの1日券を購入して、20ドル紙幣を渡したら
お釣が無いから、ちょっと待っていてねといわれる
車掌は一生懸命乗客から一ドル札を集めるけれど
なかなか11ドルに達しない
運転手に「5ドル貸して!」と叫ぶ
途中で運転手が車掌と交代して、私の前に立つ
ニコニコと笑ったおじいちゃんのような運転手が
「5ドルだけ?」と私に手渡す
もう一度いたずらをする子供のような顔で
「本当にこれで充分?」と尋ねる
私は、母親になったような気持ちで、笑いながら「充分よ!」と答える
向かいに座った中国人のおじいちゃんが
「だめだよ、ぜんぜん足りないって言ってやるんだ!」と
やっぱり子供のような笑い顔でちゃちゃを入れてくる
「次はそう言うわ!」と私も笑う
おじいちゃんはチャイナタウンで降りていった
ジャクソン通りから、海を眺めたらちょうど朝陽が昇るところで
金色に輝く海が、まるで砂漠のようだった
大きく息を吸い込む、そしてロンバートストリートへたどり着く
世界一曲がりくねった道、を一気に走り降りた
車が通れば、ドライビングテクニックを観て楽しもうと思っていたが
早朝、わざわざこの通りを通る車はなく、
私は堂々と車道を走り降りた
そのままイタリア人街へと向かう
mama’sという名の朝食屋へ
8時からのオープン前に既に店の前には列が出来ていた
少し待って、ようやく店が開く
パンケーキか、卵料理か、フレンチトーストか
メニューを眺め、後ろで食べる人を眺め、オープンキッチンで
じゅうじゅうと焼かれるジャガイモやベーコンを凝視する
パンケーキとソーセージとコーヒー
焼きたてのパンケーキがたっぷりのメープルシロップと共に置かれる
おいしい
熱くて火傷したけれど、とっても美味しい
コーヒーを沢山飲み、ソーセージを箸休み代わりにつまみながら
一人でたいらげた朝ごはん
満足な気持ちをかかえ、フィッシャーマンズワーフへ向かう
直通のバスがない為、ファーマーズマーケットで乗り換える
ファーマーズマーケットでは、「地元の農家から買ってくれてありがとう!」
という看板が立てられている
朝からみんな一生懸命、にんじんやらハムやらチーズやらを買い求めている
私はカリフォルニア郊外で作られているオリーブオイルを2本と
クッキーの型を沢山買った
そのあと、ミュニメトロでフィッシャーマンズワーフへ
隣の中国人の男の子が話し掛けてくる
「日本人?」
「そうよ、あなたは・・・?」
「中国人、そこのバークレーで大学に行っている」
「羨ましい!若いのね、私は日本で働いています」
そのまま少し話して、フィッシャーマンズワーフで降りる
こういうところのお土産屋さんはどうしてこんなにげんなりするんだろうと
すこし面白い気分で店を通り過ぎる
ふと、シーライオンの看板が多い事に気づき、
ああ、野生のアシカが見られるのはここだったか、と思い出す
遠くにアシカの鳴き声が聞こえる
急ぐ、逃げはしないけれど、急ぐ
たくさんたくさん、居た
私はこんなに怠惰なアシカを、こんなに沢山見たのは初めてだったので
どうしていいのかわからず、とにかく見た
何かすごいことが起きるかもしれないと思って
何もおきないまま、時間が流れた
相変わらずアシカは、勝手気ままに寝たり、じゃれたり、けんかしたり
人間だけが、必死に彼らを観続けていた
さて、行こうと思い、自転車をかりにいく
自転車でゴールデンブリッジを渡ろうと思ったのだ
自転車を借りて、ずっとずっと走っていく
ゴールデンゲートブリッジはずっと見えているのに
なかなかたどり着かず、もしかして道を間違えているのかと
何度も疑いながら、まっすぐの道を行く
最初にたどり着いたのは、ゴールデンゲートブリッジのふもと
驚いたことに、橋の下にはサーファー達が波を待って
ぷかぷかと浮いていた
私も興奮して、彼らと一緒に波を待つ
大きな波はないけれど、橋の下でサーフィンをするその組み合わせは
なんとなく私にベルリンを思い出させた
大きな人工物と、小さな自然を楽しむユーモアは
なんとなくドイツを思い出させるのだ
ベルリン!私がもっとも懐かしさを感じる街。
昨年の同じ時期は、ベルリンの緑の下でぐうぐうと寝ていたのだ
とても晴れていて、私はたくさんの買い物とたくさんの午睡と
たった一人の日本人との出会いとを楽しんだ
さて、ここはアメリカで私はゴールデンゲートブリッジを目指す
小さな日本人として、再び自転車に乗る
びっくりするほど普通の山道を登らなければならず
皆背筋を反り返らせて立ち漕ぎをしている姿がおかしかった
山を登り、少し進むと橋につく
ようやく着いたという感動はあまりない
ただひたすらにこの橋を渡ろうと思う
何度か止まって写真を撮ったりもしたけれど
とにかくこの橋の上はとんでもない風の強さだった
ごうごうと吹く風に横つらをはたかれながら
一生懸命反対岸へと向かう
着いたらついたで、またもや延々と道をゆく
小さなヨットハーバーのような町があり、そこを目指した
着いたその町は、まるで軽井沢のように店が並び
驚くほどたくさんの人がいた
私も自転車を止め、道なりに歩く
途中でサーモンのサンドウィッチを食べたが、朝のやけどに
サーモンの塩がしみて、半分残してしまう
途中、気温も下がってきて、私はちょっと元気をなくす
この街はすこし田舎じみていて、それで私は
大好きな会社の同僚を思い出してしまった
海が好きで、のんびりと息を抜くペースが似ている人
彼とは、昨年の夏の休暇で、偶然同じ飛行機に乗った
成田からチューリッヒまで、
チューリッヒから私はバルセロナへ彼はザグレブへ
クロアチアへいくんだといわれたときには、
この人はちょっと癖のある人なのだろうかと感じたけれど
聞いてみるとクロアチアはとても綺麗な海があるとわかった
そんな国へ一人で行こうとしている彼が、
なんとなく自分と似ている気がして私はとてもうれしかった
以来、なぜか彼にだけは、
私は素直に自分の好きな物事を話すことが出来る
彼は否定することを口にしない
その前に面白がるのだ
その外部に対する素直さが、また私をリラックスさせるのだろう
彼はそうやって同期を和ませていることなど、まったく気づいていないだろうけれど
一通り町で遊んで、帰りはフェリーに乗る
自転車屋に戻って荷物を引き取り、ケーブルに揺られてユニオンスクエアへ戻る
ホテルへ戻ると、疲れていたのかベッドで眠ってしまった
津波の夢を見て起きる
寝ていたのは30分程度だった
身支度を整えて、街へ散歩に行く
ぶらぶらと洋服屋や靴屋を眺め、ヴァージンメガストアでCDを物色した
部屋に帰り、買ったCDを早速聞きながら本を読んだり、日記を書いた
明日はサンフランシスコを発つ日だ
すこしさみしい
what I wanted is・・・
2005年4月23日欲しいものがわからない
お前は何がしたいんだよと言ってくれた友人に
思い切って言ってみた
言ってみて、使い古しの青春映画みたいだと思った
彼も私も、端からみたら困り果てた顔をしていただろう
瞬間的には、確かに欲しいと思っているのよ、と
私は言い訳を始める
まるで万引きを見つかった子供みたいだ
きっと私は一方的な所有が好きなんだと思う
相手が私のことを好きとか、嫌いとか、そういう取引の無い世界
それは間違っても、よい世界とはいいがたく
言ってみれば、お気に入りの人形だけを並べてままごとをしている幼児と変わらない
よいのかなぁ
お前は何がしたいんだよと言ってくれた友人に
思い切って言ってみた
言ってみて、使い古しの青春映画みたいだと思った
彼も私も、端からみたら困り果てた顔をしていただろう
瞬間的には、確かに欲しいと思っているのよ、と
私は言い訳を始める
まるで万引きを見つかった子供みたいだ
きっと私は一方的な所有が好きなんだと思う
相手が私のことを好きとか、嫌いとか、そういう取引の無い世界
それは間違っても、よい世界とはいいがたく
言ってみれば、お気に入りの人形だけを並べてままごとをしている幼児と変わらない
よいのかなぁ
峠
2005年4月23日それは峠と呼ぶには険しすぎる道
キャピトルヒルへ向かう道
ところどころ、見える海と
砂埃をさんざん私に振りかけて通り過ぎるトラック
あとはじりじりと肌を焦がすような 太陽 太陽 太陽
後ろを振り返れば 今まで進んだ距離がよくわかる
簡単に引き返すには惜しい道のり
手を離せば、このレンタサイクルはカラカラと
乾いた音をかき鳴らして、坂道を落ちるだろう
前方、目指すはエスコスマーケット
もう一度タオルで汗をぬぐい、
ぬるくてげんなりするようなミネラルウォーターを口に含む
口笛を吹きながら兄ちゃんたちが通り過ぎる
あついあつい キャピトルヒルへの道
まだまだ上り坂
峠の景色を手に入れるまで
キャピトルヒルへ向かう道
ところどころ、見える海と
砂埃をさんざん私に振りかけて通り過ぎるトラック
あとはじりじりと肌を焦がすような 太陽 太陽 太陽
後ろを振り返れば 今まで進んだ距離がよくわかる
簡単に引き返すには惜しい道のり
手を離せば、このレンタサイクルはカラカラと
乾いた音をかき鳴らして、坂道を落ちるだろう
前方、目指すはエスコスマーケット
もう一度タオルで汗をぬぐい、
ぬるくてげんなりするようなミネラルウォーターを口に含む
口笛を吹きながら兄ちゃんたちが通り過ぎる
あついあつい キャピトルヒルへの道
まだまだ上り坂
峠の景色を手に入れるまで
トラベラー
2005年3月27日いつも待っている
どこからか、誰かが声をかけてこう言う
「どこへでも、行きなさいよ、後の事は私に任せなさい」
友人は「今の自分に、捨てる、なんてものは何もない」と言うけれど
私は小さいころから、一度握ったものを手放すのが本当に下手
きっと一番気がかりなのは
1年ずつ年老いていく両親と、まっとうすぎる仕事への捨てきれない夢
何が本当にほしいのか
何を本当に捨ててはいけないのか
迷っている時間ばかりが流れていく
上を見て、太陽が出ているのを確認して
また洞窟へ戻る深海魚のように
どこからか、誰かが声をかけてこう言う
「どこへでも、行きなさいよ、後の事は私に任せなさい」
友人は「今の自分に、捨てる、なんてものは何もない」と言うけれど
私は小さいころから、一度握ったものを手放すのが本当に下手
きっと一番気がかりなのは
1年ずつ年老いていく両親と、まっとうすぎる仕事への捨てきれない夢
何が本当にほしいのか
何を本当に捨ててはいけないのか
迷っている時間ばかりが流れていく
上を見て、太陽が出ているのを確認して
また洞窟へ戻る深海魚のように
夜の道
2005年3月6日桜上水からの帰り道、
ぱちぱちと香ばしい音がした
雨?と聞いたら、
ドライバーの友人が、違うよ、道路の音だよと教えてくれた
納得しかねている私に
助手席の子は笑いながら、星が降ってきたのかな、と言ったので
私は窓を開けて空を見上げた
夜の道はどこまでもいけそうな気持ち
ぱちぱちと香ばしい音がした
雨?と聞いたら、
ドライバーの友人が、違うよ、道路の音だよと教えてくれた
納得しかねている私に
助手席の子は笑いながら、星が降ってきたのかな、と言ったので
私は窓を開けて空を見上げた
夜の道はどこまでもいけそうな気持ち
まわり
2005年1月22日キーボードを叩きながら、ふと鳥のさえずりを聞いた
オフィスの中で
私はもちろん椅子に座ったままで
いつもの風景、いつもじゃない音
しばらく黙って静かにしていたけれど
やっぱりどこかで鳥が鳴いていた
それも、セキセイインコのような
ジュクジュクちっとも可愛くない声
困った私は、友人にメールを送った
すこしだけすっきりした
翌日の夜、帰り道にふと顔をあげたら
左の頬の真上くらい、流れ星が消えていった
オレンジ色の、今までで一番激しい色の流れ星だった
家に帰って、既にベッドの中の両親に伝えたけれど
ちっとも驚いてくれなかった
翌日、友人にメールを送った
ランチで会った時、「脳に異常が出ると、幻覚が見えるらしい」と
真剣にアドバイスをくれた
彼女の深刻そうな顔をみて大笑いしたら
彼女もつられて笑い出した
そうかぁ、私ちょっと壊れてきちゃったのかぁと
大きな声で言ってみた
乾いた風が喉に吹き込んで、気持ち良いと思った
オフィスの中で
私はもちろん椅子に座ったままで
いつもの風景、いつもじゃない音
しばらく黙って静かにしていたけれど
やっぱりどこかで鳥が鳴いていた
それも、セキセイインコのような
ジュクジュクちっとも可愛くない声
困った私は、友人にメールを送った
すこしだけすっきりした
翌日の夜、帰り道にふと顔をあげたら
左の頬の真上くらい、流れ星が消えていった
オレンジ色の、今までで一番激しい色の流れ星だった
家に帰って、既にベッドの中の両親に伝えたけれど
ちっとも驚いてくれなかった
翌日、友人にメールを送った
ランチで会った時、「脳に異常が出ると、幻覚が見えるらしい」と
真剣にアドバイスをくれた
彼女の深刻そうな顔をみて大笑いしたら
彼女もつられて笑い出した
そうかぁ、私ちょっと壊れてきちゃったのかぁと
大きな声で言ってみた
乾いた風が喉に吹き込んで、気持ち良いと思った
HOLIDAY
2005年1月17日新宿のバリレストランで友人の結婚パーティを開いた
雨をくぐり抜けて集まった友人達で
とても明るくて、とても温かい、お祝いをした
夜、会社の近くに予約したホテルへ一人で戻った
少し、ゆっくりとする為に、この週末はホテルで寝ようと思ったのだ
仕事が忙しく、会社と家の往復ばかりになるこの時期は
誰にも会わず、必要最低限のものだけに囲まれたい、と思うようになる
大手町の日曜日は、街全体がお休みしている
レストランもコンビニエンスストアもコーヒーショップも
ぜんぶぜんぶcloseの札をぶらさげて
街を歩く私をしらんぷりしてぐぅぐぅ寝ている
この風景が好き
リュックに帽子を被った老夫婦や
ガイドブックを持った外国人観光客が皇居の周りを散策していて
私はそれをガラスの中からそっと見ている
おおきな通りには、車はなく
いつもはビジネスマンでせわしない地下道もがらんとして
手持ち無沙汰な駅員があくびをしている
少し歩いて、大好きなDEAN&DELUCAへいく。
ここはニューヨークの匂いがちょっとする。
ニューヨークより洗練されすぎているような気もするけれど
それはマルノウチだから仕方ないのだと思う
よく寝て、たっぷり減ったお腹にコーヒーを流し込む
おはよう、と街が私に声をかける
おはよう、と私が街に返事をする
休日の朝
雨をくぐり抜けて集まった友人達で
とても明るくて、とても温かい、お祝いをした
夜、会社の近くに予約したホテルへ一人で戻った
少し、ゆっくりとする為に、この週末はホテルで寝ようと思ったのだ
仕事が忙しく、会社と家の往復ばかりになるこの時期は
誰にも会わず、必要最低限のものだけに囲まれたい、と思うようになる
大手町の日曜日は、街全体がお休みしている
レストランもコンビニエンスストアもコーヒーショップも
ぜんぶぜんぶcloseの札をぶらさげて
街を歩く私をしらんぷりしてぐぅぐぅ寝ている
この風景が好き
リュックに帽子を被った老夫婦や
ガイドブックを持った外国人観光客が皇居の周りを散策していて
私はそれをガラスの中からそっと見ている
おおきな通りには、車はなく
いつもはビジネスマンでせわしない地下道もがらんとして
手持ち無沙汰な駅員があくびをしている
少し歩いて、大好きなDEAN&DELUCAへいく。
ここはニューヨークの匂いがちょっとする。
ニューヨークより洗練されすぎているような気もするけれど
それはマルノウチだから仕方ないのだと思う
よく寝て、たっぷり減ったお腹にコーヒーを流し込む
おはよう、と街が私に声をかける
おはよう、と私が街に返事をする
休日の朝
夕焼け
2005年1月3日母親に雨戸を閉めるように言われ、窓辺に立ったとき
久し振りにゆうやけこやけを聞いたような気がした
外は既に日の落ちた後で、群青色の空に隣の家の輪郭が
黒く塗りつぶされていた
今日の昼に外を見たときは、チェコのユダヤ人街が浮かんだ
天気雨が通り過ぎたばかりのような、暗さと光の入り混じった空だった
本当は雨など降っていなかったのかもしれない
その年の夏、プラハは大きな洪水に見舞われ、
シナゴーグのほとんどは入ることを禁じられてしまっていた
水で石畳が浮き上がり、今すこし前まで雨が降っていたような
そんな湿り気を帯びた街の姿だった
もう一度、窓の外を見たが、
目の前に広がっていたのは、屋根に雪を積もらせた家々の風景だった
空が東欧のそれのような重さを持っているふうに見えたのも
錯覚だったのかもしれない
息を吸って、吐き出すと、少し気持ちが解放される
近頃は思い出に救われてばかりいる
思い出を現在形にして、
犬のように連れてどこまでも歩いていきたいと思う
散歩にいくふりをして、家の勝手口を抜けて
そのままどこか誰も届かないところへ消えてしまう
あぁ、私は夕焼けに溶け、小さな朱色の雫になって
大海を漂っていたい
久し振りにゆうやけこやけを聞いたような気がした
外は既に日の落ちた後で、群青色の空に隣の家の輪郭が
黒く塗りつぶされていた
今日の昼に外を見たときは、チェコのユダヤ人街が浮かんだ
天気雨が通り過ぎたばかりのような、暗さと光の入り混じった空だった
本当は雨など降っていなかったのかもしれない
その年の夏、プラハは大きな洪水に見舞われ、
シナゴーグのほとんどは入ることを禁じられてしまっていた
水で石畳が浮き上がり、今すこし前まで雨が降っていたような
そんな湿り気を帯びた街の姿だった
もう一度、窓の外を見たが、
目の前に広がっていたのは、屋根に雪を積もらせた家々の風景だった
空が東欧のそれのような重さを持っているふうに見えたのも
錯覚だったのかもしれない
息を吸って、吐き出すと、少し気持ちが解放される
近頃は思い出に救われてばかりいる
思い出を現在形にして、
犬のように連れてどこまでも歩いていきたいと思う
散歩にいくふりをして、家の勝手口を抜けて
そのままどこか誰も届かないところへ消えてしまう
あぁ、私は夕焼けに溶け、小さな朱色の雫になって
大海を漂っていたい
アスパラガス
2004年12月6日すくすくと育った人を眺めていると、
アスパラガスみたいだなぁと思う
すらりとしていて、やわらかくて
ほんのりと甘くて、青臭さがすこし鼻について泣けてくる
大好きなあの人はアスパラガスのようだと思うけれど
きっとそれを伝えても、びっくりするだけだからやめておこうと思う
私の誉め言葉は、いつも上手に伝わらなくて
そのせいで彼は眉をひそめなくちゃいけなくなる
彼は私が知る人の中で、もっとも「普通の人」で
私はそれも本当は伝えたいのだけど、
きっと上手に褒めちぎれないだろうから、やめておこうと思う
普通というのがどれだけ難しい事か
そしてそれがどれだけ均整のとれた素晴らしい奇跡か
私が貴方にどれだけうっとりしているか
本当に、どうして伝わらないのだろう
アスパラガスみたいだなぁと思う
すらりとしていて、やわらかくて
ほんのりと甘くて、青臭さがすこし鼻について泣けてくる
大好きなあの人はアスパラガスのようだと思うけれど
きっとそれを伝えても、びっくりするだけだからやめておこうと思う
私の誉め言葉は、いつも上手に伝わらなくて
そのせいで彼は眉をひそめなくちゃいけなくなる
彼は私が知る人の中で、もっとも「普通の人」で
私はそれも本当は伝えたいのだけど、
きっと上手に褒めちぎれないだろうから、やめておこうと思う
普通というのがどれだけ難しい事か
そしてそれがどれだけ均整のとれた素晴らしい奇跡か
私が貴方にどれだけうっとりしているか
本当に、どうして伝わらないのだろう
ティンカーベル
2004年11月20日近いというのは、ひとつの素晴らしい偶然だ
私は阿佐ヶ谷に住んでいるわけではないけれど
生まれた病院も、最寄のJR駅も、阿佐ヶ谷だったりする
風邪をひいたり、ものもらいで目を腫らしたり、
その度に通った病院への道は
阿佐ヶ谷の街そのものよりも記憶に強く焼きついている
最近、友人が移り住んできたこともあり、
少し厚着をして、母親の自転車を借りて阿佐ヶ谷へいく機会が増えた
小さな静かなレストランで食事をして、
シフォンケーキを横目で見ながら駅へ戻り、
ヴィレッジヴァンガードのコーヒーを飲んで一日が終わる
少し季節外れのマフラーを巻いて、帽子をかぶって
じゃぁね、と手を振って自転車に乗って自宅へ戻る
阿佐ヶ谷の夜は小さく、ささやかに幸せだ
帰り道、星空を見上げながら、
なんとなく私はティンカーベルを思い出す
小さくて、きらきらした、そんな夜
私は阿佐ヶ谷に住んでいるわけではないけれど
生まれた病院も、最寄のJR駅も、阿佐ヶ谷だったりする
風邪をひいたり、ものもらいで目を腫らしたり、
その度に通った病院への道は
阿佐ヶ谷の街そのものよりも記憶に強く焼きついている
最近、友人が移り住んできたこともあり、
少し厚着をして、母親の自転車を借りて阿佐ヶ谷へいく機会が増えた
小さな静かなレストランで食事をして、
シフォンケーキを横目で見ながら駅へ戻り、
ヴィレッジヴァンガードのコーヒーを飲んで一日が終わる
少し季節外れのマフラーを巻いて、帽子をかぶって
じゃぁね、と手を振って自転車に乗って自宅へ戻る
阿佐ヶ谷の夜は小さく、ささやかに幸せだ
帰り道、星空を見上げながら、
なんとなく私はティンカーベルを思い出す
小さくて、きらきらした、そんな夜
10月30日の日記
2004年10月30日よわってるんやな、と春雨を口に運びながら同期が言った
自分が弱ってるから、強くてペースのまれそうな人から
遠ざかろうとしてるんや
この春雨めっちゃうまいわ
本当に美味しそうに皿と口に箸を往復させている彼女を見ながら
そうだなぁと、ビールを飲みながら電燈を仰いだ
植物のような人、とは
彼女が私の好きな人々をたとえていった言葉だ
欲も匂いもなくて、風が吹いたら倒れてしまいそうな
今私には好きな人が二人いるのだが、
おそらく、私が本音で仕事をしているのは彼に向かってだけであり
おそらく、私が本音で美しいものの話をしているのは彼に向かってだけであり
とてつもなくエゴイスティックだとは思うのだが
感性がそうさせるのだから、仕方ない
そう思っている時点で、弱っている
理性がひりひり擦り切れて、部屋の隅で蹲っているのだ
きっと今は
切れてしまった靴紐をつなぎ合わせている時期なのだ
まもなくの跳躍に向けて、そんな時期もあるのだ
そう言い聞かせて、出来たての広東麺を啜る
明日はもう少し強くなっている予感を抱えながら
自分が弱ってるから、強くてペースのまれそうな人から
遠ざかろうとしてるんや
この春雨めっちゃうまいわ
本当に美味しそうに皿と口に箸を往復させている彼女を見ながら
そうだなぁと、ビールを飲みながら電燈を仰いだ
植物のような人、とは
彼女が私の好きな人々をたとえていった言葉だ
欲も匂いもなくて、風が吹いたら倒れてしまいそうな
今私には好きな人が二人いるのだが、
おそらく、私が本音で仕事をしているのは彼に向かってだけであり
おそらく、私が本音で美しいものの話をしているのは彼に向かってだけであり
とてつもなくエゴイスティックだとは思うのだが
感性がそうさせるのだから、仕方ない
そう思っている時点で、弱っている
理性がひりひり擦り切れて、部屋の隅で蹲っているのだ
きっと今は
切れてしまった靴紐をつなぎ合わせている時期なのだ
まもなくの跳躍に向けて、そんな時期もあるのだ
そう言い聞かせて、出来たての広東麺を啜る
明日はもう少し強くなっている予感を抱えながら
レシピ
2004年9月24日今日のランチの走り書き
とても美味しかったので、次は自分で作りましょう
秋刀魚とカラスミのパスタは
ダイス状の秋刀魚と茄子をオリーブオイルで温め、
茹で上げたパスタに急いで絡めて、カラスミをふりかけましょう
牛フィレのステーキは、
トマトとチーズを乗せて軽くあぶった後、
お皿にマッシュポテトを添えましょう
パンナコッタには、カラメルソースをかけましょう
あぁ腕が鳴る前に、お腹が鳴る
とても美味しかったので、次は自分で作りましょう
秋刀魚とカラスミのパスタは
ダイス状の秋刀魚と茄子をオリーブオイルで温め、
茹で上げたパスタに急いで絡めて、カラスミをふりかけましょう
牛フィレのステーキは、
トマトとチーズを乗せて軽くあぶった後、
お皿にマッシュポテトを添えましょう
パンナコッタには、カラメルソースをかけましょう
あぁ腕が鳴る前に、お腹が鳴る